甲子園のアルプス席がざわめく。
あの背番号をつけた男が、ゆっくりと打席に入る。
「頼むぞ…!」
観客の声援が、彼の背中を押す。
広陵高校3年、草島絃太(くさじま・げんた)。
175cm、92kg。重厚な体格と右投左打の構えは、ただの高校生ではない。バットを握った瞬間、その場の空気が変わる。
■ 小さなグラウンドで芽吹いた才能
2007年度生まれ。野球との出会いは、おそらく少年野球チームか地域のクラブだろう。
中学ではLocomotionヤングベースボールクラブに所属。週末は早朝から集合し、バスや家族の車で遠征地へ。
ヤングリーグ全国大会、グランドチャンピオン大会──全国の舞台で、同世代のトッププレーヤーたちと鎬を削った。
まだ声変わりも終わらない時期に、彼は「勝つための準備」の厳しさを知る。練習後の泥だらけのユニフォーム、夕飯の席での反省会。家族の支えがなければ続けられない生活だった。
■ 広陵という“修羅場”へ
2023年、広陵高校へ進学。
全国区の名門で、ポジション争いは熾烈を極める。上級生も、県外から集まった怪物級の選手たちも、全員がレギュラーを狙っている。
そんな中、草島は1年目から夏の甲子園に出場。さらに明治神宮大会にも名を連ねた。
普通は緊張で固くなる場面でも、彼は動じない。打席での呼吸、バットの角度、全てが落ち着いている。「ただの大柄な選手じゃないな」と、スタンドのファンが気づき始める。
■ 2年目の成長
2024年春、センバツ甲子園に出場。1回戦、2回戦ともにスタメン出場し、確実に結果を残す。
広陵の打線で、徐々に中核を任されるようになり、夏の甲子園では再び3回戦進出。
全国の舞台で「経験」と「自信」を積み重ねたその姿は、もう一年生の時の少年ではなかった。
■ 3年、背番号4番の重み
2025年夏。
草島はついに「4番・ファースト」の座を手に入れる。
高校野球で4番を打つということは、常に勝負の責任を背負うということ。
ノーアウト満塁、2アウト満塁、同点の最終回──その場面で打てばヒーロー、凡退すれば戦犯扱い。それでも逃げないのがクリーンナップの宿命だ。
打席に入るたび、相手バッテリーは彼を避けたい気持ちを隠せない。外角低めに落とす変化球、内角高めの真っすぐ──狙いは徹底的に“打たせない”こと。
しかし草島は、それを逆手に取る。外角を流し打ち、内角は迷いなく引っ張る。鋭い打球が三遊間を抜けると、ベンチが総立ちになる。
■ ヒーローの裏側
大歓声の裏で、彼は何度も悔し涙を流してきたはずだ。
ファーストの守備では捕球ミス一つで流れが変わる。打撃ではわずか数センチのズレが凡打を生む。
「絶対にチームを勝たせる」──その気持ちが強いほど、失敗の重みも増す。
だが草島は、それを引きずらない。次の打席ではまた平然とバットを構える。切り替えの速さもまた、彼の武器だ。
■ 家族という“影のチーム”
父、母、兄弟の存在は公表されていない。
だが、中学から全国を飛び回る生活を考えれば、家族の支えなしに今の彼は存在しない。
遠征費、用具の買い替え、試合後の声かけ──その全てが選手の心を作る。
きっと家族は、彼が甲子園の土を踏む瞬間を、誰よりも近くで見守ってきた。
■ その先の未来
高校最後の夏が終われば、彼はどこへ向かうのか。
大学野球でさらに磨きをかけるのか、社会人野球で大人の壁に挑むのか、それともプロの世界に飛び込むのか。
どの道を選んでも、彼の野球は終わらない。なぜなら草島絃太は、ただのパワーヒッターではなく、試合の流れを変える「空気を操る打者」だからだ。
■ 見逃すな、この夏
甲子園で広陵の試合を観るなら、必ず4番の一挙手一投足を追ってほしい。
打席での静寂、振り抜く瞬間の爆発、走塁で見せる必死の形相──その全てが物語になる。
今年の夏、アルプス席の歓声と金属音が響く中で、また一つ伝説が生まれるかもしれない。
その中心にいるのは、間違いなくこの男──草島絃太だ。
草島絃太選手 データ&考察
プロフィール
- 氏名:草島 絃太(くさじま げんた)
- 生年:2007年度生まれ(2025年時点で18歳前後)
- 身長/体重:175cm/92kg
- 利き腕:右投左打
- ポジション:内野手(主にファースト)
- 所属:広陵高等学校(広島県)
学歴
- 中学:広島県または近郊の中学校(クラブチーム活動:Locomotionヤングベースボールクラブ)
- 高校:広陵高等学校(2023〜2025年在籍)
経歴
- 中学時代(2020〜2022年):ヤングリーグ全国大会出場、グランドチャンピオン大会出場
- 高校1年(2023年):夏の甲子園出場(3回戦進出)、明治神宮大会出場
- 高校2年(2024年):センバツ甲子園(2回戦進出)、夏の甲子園(3回戦進出)
- 高校3年(2025年):夏の甲子園で4番ファーストとして活躍、複数試合で打点を記録
父親
- 詳細は非公開。中学時代からの全国遠征を支える存在である可能性が高い。
母親
- 詳細は非公開。食事や生活面でのサポート、遠征時の付き添いなど、日常の基盤を支えてきたと考えられる。
兄弟
- 情報は非公開。だが、兄弟の影響で野球を始める選手も多く、その可能性は否定できない。
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