2025年7月、日本の政治にまた一つ予想外のドラマが生まれた。
「石破首相、退陣へ」──毎日新聞と読売新聞がそう報じたのは、参院選後の7月23日。一時は政権交代もささやかれたほどの不安定な局面に、政界も世論も一気にざわついた。
そんな中、思わぬ人物が異議を唱えた。
お笑い芸人であり、今回の参院選で社民党から当選したばかりのラサール石井氏である。
彼の一言が、SNSの空気を一変させた。
それが──**「#石破やめるな」**という言葉だった。
「#石破やめるな」爆誕。野党から与党首相への“異例のエール”
ラサール氏は23日昼、自身のX(旧Twitter)でこう投稿した。
「答弁はメモを読まず、沖縄には追悼し、戦争はおきてはならぬと主張する。ここ最近の自民党の首相では1番まとも」
「辞めたら極右政権が生まれる。それだけは避けたい」
「#石破やめるな」
これが瞬く間に拡散。
「え? 社民党の議員が自民党の首相を擁護?」という驚きとともに、Xのトレンドに「石破やめるな」が浮上した。
「石破やめるな」は誰が最初に言い出したのか?
このキャッチーで力強いフレーズ、「石破やめるな」。調査の限り、ラサール石井氏が最初に公的に発信した人物である可能性が極めて高い。
SNS上で過去の投稿をたどっても、彼の7月23日投稿以前にこのフレーズを使っていた著名人や報道例は確認されていない。
つまり、政治用語としての「石破やめるな」は、ラサール氏の投稿が起源であり、発火点と見てよいだろう。
なぜ“左派”のラサール氏が石破首相を擁護?
社民党といえば、明確なリベラル・左派路線を掲げる政党。その公認候補として当選したばかりのラサール石井氏が、自民党(保守本流)の石破首相を「ここ最近で一番まとも」と称賛し、「やめるな」と訴える──この構図は非常に異例だ。
だが、その背景には“姿勢”への評価がある。
石破氏は、
- メモを読まず自分の言葉で語る姿勢
- 沖縄戦追悼式への誠実な態度
- 平和主義的スタンス
を一貫して保ってきた。
ラサール氏は、こうした政治家としての誠実さに敬意を示したのであり、「保守かリベラルか」ではなく「まともかどうか」が判断基準だったと読み取れる。
「石破やめるな」と言っているのは左翼か?外国勢力か?
SNSでは一部、「石破を擁護してるのは左翼」「背後に外国の意図があるのでは?」といった声も上がっている。
だが、実際に「#石破やめるな」を使っている人々を見てみると、単純な左翼・保守の二分論では語れない現象が起きている。
■ 左派も保守派も入り混じる「まとも」支持層
石破氏は、自民党内でも“異端”とされながら、一定のリベラル層からも好感を持たれてきた人物。特に安全保障や平和問題での慎重な姿勢や、個人の尊厳を重んじるスタンスは、思想的な垣根を超えて共感を呼ぶ部分がある。
実際、「石破やめるな」と投稿している人々の中には、
- 中道保守のビジネス層
- 若年層の無党派層
- 反戦・護憲を重視する市民団体関係者
など、幅広い層が確認されている。
■ 外国勢力説は“陰謀論”の域を出ない
一方、「外国勢力が石破を支援している」といった指摘も見受けられるが、その裏付けは皆無に近い。
石破氏は安全保障の専門家でもあり、むしろ外交・防衛では現実主義的立場を取ることが多い。
要するに、「外国勢力が石破推し」という論調は、現状では信憑性よりも政治的レッテル貼りに近い印象を受ける。
メディアへの怒りも…「退陣報道は世論誘導だ」
ラサール氏の投稿は首相擁護だけでは終わらない。メディア、特に読売新聞への批判も炸裂していた。
「読売は『退陣へ』と号外。流れを作る。自民党の走狗。そんなことだからオールドメディアと呼ばれる」
石破氏が「退陣の意志はない」と否定しているにも関わらず、既成事実のように報じた点に対して、「報道が政治を動かそうとしていないか?」と疑問を投げかけたのだ。
「石破やめるな」が突きつけた日本政治の現在地
この一連の騒動で、私たちに突きつけられた問いは少なくない。
- 政治家の評価は、思想ではなく“誠実さ”でされるべきでは?
- メディアは事実を追っているのか、流れを作っていないか?
- 日本の政治は「まともさ」をどこまで重視できるのか?
──「石破やめるな」というシンプルな言葉の裏には、そんな深い葛藤が隠れている。
結論:発信者はラサール石井。“共感の核”はもっと広い
「石破やめるな」と最初に叫んだのはラサール石井氏だった。これは間違いない。
だが、それがここまで広がり、共感を呼んだ理由は、“言った人”ではなく“言われた内容”にある。
人々が反応したのは、「まともな首相が、政治の都合で潰されていく」という構図への違和感だ。
その感情は、左か右かではなく、“普通の国民”の感覚に近い。
つまり、「石破やめるな」と言っているのは左翼でも外国勢力でもなく──今の政治にモヤモヤしている、日本の「真ん中」の声なのかもしれない。
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